「あしたの東京」に込めた願いを夜空に飛ばす
東京ランタンセレモニー開催

2023.03.02

2023年2月、「あしたの東京プロジェクト」の第三弾となるイベント「東京ランタンセレモニー」が開催されました。東京都庁都民広場で行われた同イベントは、未来の東京に対する願いを込めたランタンを飛ばし、参加者と「あしたの東京」をともに考えることが目的。小池都知事らも会場に駆けつけ、「あしたの東京プロジェクト」のフィナーレを締めくくりました。

本記事では、「東京ランタンセレモニー」当日の様子をレポートします。

世界で流行するランタンイベントが、東京で実現

寒さが続く2月11日の夕暮れ時。約300名の参加者が、西新宿の東京都庁都民広場に集合。会場内でランタンにそれぞれの“あしたの東京への願い”を書き込んでいきます。

紙や竹で作られた熱気球であるランタンは、もともとアジアやヨーロッパ諸国で、お祭りや無病息災を祈る民族風習として使われていた歴史を持ちます。台湾では、願い事を書いたランタンを空に打ち上げることで、先祖に自分たちの平穏無事を告げ、ご加護を祈る伝統行事となっています。そして近年、ランタンを飛ばす文化は、世界的に流行。国内外の各地で、イベントが開催されるようになりました。

東京の新たな魅力が体感できる参加型プロジェクト「あしたの東京プロジェクト」では、多摩地域で行われた「多摩クリーン&クラフトキャンペーン」、島しょ地域で行われた「東京島エコツーリズム」を通じて、多くの都民がまだ見ぬ東京の姿を知り、自然や文化、地域課題への理解が深まるような取り組みを行ってきました。今回の「東京ランタンセレモニー」は、その締めくくりとして、東京を好きになり、東京をより良くするためのアクションを考えるきっかけにするために、企画されたものです。

メッセージを書き込むのは、ランタンを包む和紙。書き込まれた言葉には、参加者の思い、個性が表れます。「TOKYO LOVE」「皆が輝ける街! TOKYO」や、「緑がいっぱい、自然が豊かな東京に」「高齢者にやさしい東京に」「安心 安全 クリーンなTOKYO」といった未来への願いや社会的なメッセージまで、その内容もさまざま。なかには「ゴミのポイ捨てをできるだけなくしてほしい」といった、子どもによる書き込みも見られました。

なお、通常のランタンは、火による燃焼の浮力で浮かびますが、今回のイベントでは「LEDランタン」を使用。子どもの安全性、ごみの発生などに配慮がされています。メッセージが書き込まれた紙ランタンの中に風船が入り、その中央にLEDランプが搭載される仕組みです。

また、会場の一画には、参加者向けの展示・体験エリアも設けられ、「あしたの東京プロジェクト」の実施概要がまとめられたパネルや、会場の照明などに給電するトヨタのクルマ「MIRAI」が展示されました。

展示エリアや会場内では、東京の伝統工芸品「江戸手描提灯(えどてがきちょうちん)」を現代風にアレンジした「OTO CHOCHIN」も見ることができます。提灯の中にスマートフォンを収めることで明かりと音楽が同時に楽しめる上、提灯によく描かれる家紋をベースに、レコードやギター、ピアノ、音符の三つ巴やDJ姿の鶴など、新たにデザインされたモチーフが手描きされています。まさに、東京の「伝統と革新」が交差した一品です。

そして体験エリアでは、東京のおすすめスポットや行きたい場所を展示するパネルが設置され、参加者が思い思いに記入したシールを貼ることができます。「東京タワー」「高尾山」「神津島」などの名所のほか、「澤乃井の生酒が多摩川沿いで飲める澤乃井園」「江戸川区の行船公園(自然動物園)が無料で楽しめる」といった情報まで、時間とともにシールの数が増えていき、東京の魅力が共有されていきました。

小池都知事が語る、東京の伝統と革新

「東京ランタンセレモニー」が始まると、ステージ上に小池都知事が登壇。1万9,087人もの応募に感謝を述べた後、伝統と革新を兼ね備えた東京の魅力、未来の東京について語りました。

「東京は、江戸から続く“伝統”と最先端の“革新”が共存する、『Old meets New』という言葉がふさわしい、世界的にも珍しい街です。たとえば浅草寺と東京スカイツリー、皇居と丸の内の高層ビル群のように、伝統的な場所と新しい場所が隣り合っていることは、海外の方々から見ても素敵だと思っていただけます。加えて、誰もが安心・安全に暮らし、旅行ができることも、大きな魅力。日本に根付くおもてなしの心や、縦横無尽に走る正確な交通網、近代的な技術・インフラなど、さまざまな特色が、東京の魅力を支えています」(小池都知事)

そして参加者に向け、世界を惹きつける東京の魅力を発信できるように、メッセージを送りました。

「この取り組みを通して、皆さまに東京のまだ知らなかった魅力を知っていただければと思います。そして東京を代表する都民として、一人でも多くの東京ファンを増やすため、東京の素晴らしさを伝えてもらいたいです」(小池都知事)

その後、小池都知事はランタンに書き込んだメッセージを発表。そこに込めた願いについて説明します。

「『みんなでつくる あしたの東京』です。東京の『伝統と革新』『Old meets New』は、私たちが守り、生み出している、世界に誇る価値です。人々のつながり、ご縁を大切にし、力を合わせて、東京を世界中に誇れる都市にしていきましょう」(小池都知事)

和やかなムードで進められたトークセッションは終了。いよいよランタンの打ち上げです。

空高く打ち上がる、未来に対する思い

司会によりランタンの打ち上げ方が説明された後、打ち上げ10秒前よりカウントダウンがはじまります。参加者とともに数をカウントし、一体感に包まれる会場。「どうぞ!」の掛け声とともに、一斉にランタンが打ち上がりました。

光り輝く約300のランタンが夜空に浮かんでいく姿は、幻想的な情景です。一人一人の切なる思いが、東京の空を照らします。会場は歓声と拍手に包まれ、多くの人がスマホで撮影していました。この瞬間、誰もが冬の寒さを忘れたのではないでしょうか。フィナーレにふさわしい、大盛況のイベントとなりました。

ランタンを飛ばした参加者にも、今回の感想を聞きました。

「ウォーキングの仲間と参加しました。『Old meets New』という考えに出会い、振り返ってみると伝統と革新にあふれていることに気づき、もっと知らない場所にも足を運びたいと思いました」(杉並区在住)

「こういった機会がないと、自分が住む東京を考え直すことは少ないので、ランタンに書くことで、自分の考えを整理できてよかったです。子どもが暮らしやすい未来、デジタル化などに期待します」(江東区在住)

「せっかく東京に住んでいてイベントにも積極的に参加したいと応募しました。日々の暮らしでも東京の魅力にたくさん気がつくので、他の地域の方にも、もっと伝えていきたいです」(杉並区在住)

「ランタンがきれいで、子どもたちの喜んでいる姿が素敵でした。皆さんの願いが届き、子どもたちが暮らしやすい未来につながると良いなと感じました」(葛飾区在住)

『あしたの東京』をみんなで考えよう

こうして、「東京ランタンセレモニー」は無事終了。運営に携わった東京観光財団の北村さんは、「応募者数が予想を上回り、改めて都民の皆さまの思いが強いことを感じました。一連のイベントがきっかけとなり、少しでも多くの人が東京の魅力に触れ、思いを発信することで、より多くの人が行き来する都市になって欲しいです」と、イベントを振り返りました。

また東京都 産業労働局 観光部の山形さんは、「東京が持つ伝統と革新の魅力は、そこで暮らす人々と訪れる人々によって日々育まれています。そして多くの人が『こんな街になってほしい』という未来を描いているはずです。今回空高く飛ばされたランタンのように、皆の思いが一つになり、あしたの東京へとつながってほしいと願っています」と語りました。

今年度の「あしたの東京プロジェクト」は、本イベントで完結です。数多くの参加者、ご協力いただいた皆さまにより、たくさんの東京の魅力、都民の思いが共有されました。今後も様々な取り組みを通じて、私たちは新たな気づきを皆さんに届けていきます。これからもぜひTokyo Tokyo公式サイトやSNSで最新情報をチェックしてください。